
過去人気だったスレを再度まとめました(´・ω・`)
1:名も無き被検体774号+:2012/10/18(木) 22:38:00.45 ID:oIV6bjxg0
正反対の話になるんだと思う。
だって、二十歳の記憶を持ったまま、
十歳の時点に戻ってやり直せるとしたら、
普通、その記憶を利用して色々するだろう?
一周目の反省や教訓を活かして、
もっと優れた二周目を目指すはずだ。
でも僕がしたことと言えば、
まさにその正反対のことだったんだ。
今思うと、馬鹿なことをしたと思うよ。本当に。
3:名も無き被検体774号+:2012/10/18(木) 22:39:03.78 ID:oIV6bjxg0
僕は思ったよ、「なんて余計なことをするんだ!」ってね。
というのも、僕は自分の人生が気に入っていたんだ。
可愛い恋人がいて、友人にも恵まれていて、
まあまあの大学に通っていて、前途洋々でさ。
人生をやり直すチャンスってのは、もうちょっと、
自分の人生に心底絶望しきってるような、
そういう人に与えられるべきだったんだと思うよ。
それで、僕は余計なことを思いついちゃったんだ。
4:名も無き被検体774号+:2012/10/18(木) 22:41:30.25 ID:oIV6bjxg0
二周目でも、そのままやり直そうということだった。
自分がこれから犯す間違いが分かっていても、
あえて全部、そのまま繰り返そうって思ったんだ。
十年分の巻き戻しを、まったく無意味にしてやろうってわけ。
これから起こる事件や災害、危機や変革のことも
大体頭に入っていたけど、僕は口をつぐむことにした。
とにかく、徹底的に一周目を模倣しようとしたんだよ。
5:名も無き被検体774号+:2012/10/18(木) 22:42:15.13 ID:2qLC+8Wz0
6:名も無き被検体774号+:2012/10/18(木) 22:43:04.62 ID:oIV6bjxg0
僕がそれに気付けたのは、枕元に置いてあった、
スーパーファミコンの入った紙袋のおかげだったんだ。
当時はそれが欲しくて仕方なかったんだよ。
紙袋の中には、一緒にゲームソフトも入っていた。
そのゲームの言い方を借りれば、僕の人生は、
『つよくてニューゲーム』にあたるわけだな。
結露した窓をパジャマの袖でこすって外を見ると、
まだうす暗く、雪に覆われた街が一望できた。
かなり寒いはずなんだけど、子供の体は温かかったな。
7:名も無き被検体774号+:2012/10/18(木) 22:45:42.87 ID:oIV6bjxg0
二段ベッドの下で寝ていた妹が、目を覚ました。
妹は眠たげな目で枕元のテディベアを眺めて、
少し遅れて、「わあー」と歓声をあげた。
僕ははしごを下りて、妹のベッドに腰掛け、
テディベアに夢中な妹に、「なあ」と話しかけた。
「兄ちゃんは、十年後から戻ってきたんだよ」
妹は寝ぼけた様子で、「おかえりー」と笑った。
僕はなんだかそれが気に入っちゃって、
「ただいま」と言って妹の頭を撫でた。
妹は不思議そうな顔で僕の顔を見つめた。
続きを読む
Source: VIPPER速報