※本稿は、長谷川嘉哉『認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ 歯を守りなさい!』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■認知症専門医が気づいた、歯のケアで脳が元気になる理由
認知症専門外来で歯のケアを受けた方が、症状の緩和・改善をしました。つまり、「ボケない脳」をつくる鍵は「歯」にあったのです。
ところで、なぜ歯のケアがこれほどまでに、脳に好影響をもたらすのでしょう?
その理由については、次の不思議な図を見ていただくとわかります。
出典=『認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ 歯を守りなさい!』より
これは「ホムンクルス図」という、医学生が生理学の授業で必ず目にする図です。
今すぐあなたに歯のケアを意識していただきたい理由が、他にもあります。
それは、歯のケア次第で、生涯医療費が1千万円以上も安くなる可能性があるからです。
日本歯科医師協会が、全国の40歳以上、約1万9000人を対象に行った調査では、残っている歯の数が20本以上ある人は、0~4本の人よりも、年間の医療費が平均で17万5900円も低いという結果が出ました。
この金額を1日あたりに換算すると、17万5600円÷365日=約482円となります。
つまり、歯を20本以上キープする歯のケアを続けるだけで、毎日約500円もの医療費を得することになるのです。
ところで、なぜ歯の数で、生涯医療費にこれほどまで差が出るのでしょう?
実は、残っている歯の数が多い人は、認知症リスクが下がるだけでなく、全身疾患リスクも下がるのです。
これについては次の章で詳しく説明しますが、大人が歯を失う主な原因である歯周病が、さまざまな病気の発症率を高めていることが、日本臨床歯周病学会や米国国民健康栄養調査(NHANES)などの報告で明らかになっています。
その発症や悪化に、歯周病が関わっていると考えられる主な病気には、
・アルツハイマー型認知症
・血管性認知症誤嚥性肺炎
・糖尿病
・動脈硬化
・脳梗塞
・心筋梗塞
などが挙げられます。
正しい歯のケアを身につけると、これだけの病気が予防・改善できるわけです。
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Source: 哲学ニュースnwk